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開催レポート

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いんぴっとONE 第6回セミナー・交流会
「中小企業が知っておくべき マーケティング・ブランディング×知財」

 2025年5月23日、いんぴっとONE 第6回セミナー・交流会「中小企業が知っておくべき マーケティング・ブランディング×知財」が、大阪市のBlooming Camp会場およびオンラインにて開催されました。会場・オンラインあわせて169名の皆様にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
※会場参加者とオンライン参加者の合計人数

大阪での初開催、テーマは「マーケティング×知財」

『いんぴっとONE』では、経営者やビジネス支援者の皆様が実践的な知見を共有し、つながりを深めるコミュニティ形成を目的としたセミナーを毎月開催しています。
 第5回となる今回は大阪での初開催。テーマに「マーケティング・ブランディング×知財」を掲げ、企業が市場で生き抜くための知財戦略について議論を深めました。

 モデレーターを務めたのは、iCraft法律事務所 弁護士・弁理士の内田誠氏。パネリストには、株式会社オーケーエム 執行役員 生産統括本部長の仙波直一氏、平安伸銅工業株式会社 常務取締役の竹内一紘氏、そして木全崇仁事務所 マーケティングコンサルタントの木全崇仁氏の3名をお迎えし、実践的な知見に基づいたパネルディスカッションが行われました。

(写真左から)iCraft法律事務所 弁護士・弁理士 内田誠氏、株式会社オーケーエム 執行役員 生産統括本部長 仙波直一氏、平安伸銅工業株式会社 常務取締役 竹内一紘氏、木全崇仁事務所 マーケティングコンサルタント 木全崇仁氏

 株式会社オーケーエムは、1902年(明治35年)創業のバルブメーカーです。滋賀県を拠点に、国内8拠点のほか、中国・マレーシアに製造拠点、韓国・ベトナムに販売拠点を構え、アジアを中心に海外展開を進めています。
 船舶用バタフライバルブを主力とし、水道、工業、建築、宇宙産業など幅広い分野で活躍。流体制御技術を強みに、グローバルニッチトップ企業としての地位を築いています。

 平安伸銅工業株式会社は、突っ張り棒で国内トップシェアを誇る日用品メーカーです。もともとはシャワーカーテン用ポールを収納用品として展開したことからスタートし、近年は「LABRICO(ラブリコ)」シリーズなど、デザイン性の高い製品で“見せるインテリア”市場を開拓。突っ張り棒のイメージを刷新し、ブランド価値を高めています。

 木全崇仁氏は、木全崇仁事務所のマーケティングコンサルタントとして活動する、実践派のマーケティングスペシャリストです。食品、ゲーム、アパレル業界で製品開発やブランドマネジメントに携わった経験を持ち、2020年からは中小企業の経営支援に特化。商品企画やブランディングの伴走支援など、実務に即したアドバイスを提供しています。

パネルディスカッション:現場視点のマーケティングと知財活用

 パネルディスカッションでは、それぞれの立場から、企業がどのようにマーケティングや知財に取り組んでいるのか、実践に即した意見が交わされました。

iCraft法律事務所 弁護士・弁理士 内田誠氏

 オーケーエムの仙波氏は、従来の「営業が顧客要望に個別対応する」やり方から脱却し、マーケティング部門を設置して社内に横串を通す体制へと移行した経緯を紹介。市場全体の動向を捉えた情報収集と共有により、環境規制のタイミングで新たな製品ニーズを捉えることができた成功事例を語りました。

株式会社オーケーエム 執行役員 生産統括本部長 仙波直一氏

 一方、平安伸銅工業の竹内氏は、「DIY業界など新たな市場に参入する際には、まず現場に飛び込み、ユーザーの声を肌で感じながら商品企画を行っている」と説明。「LABRICO」シリーズも、インフルエンサーの投稿をヒントに開発されたものであり、時代の変化が早い今、調査よりも実践を優先するスピード感が重要だと強調しました。

平安伸銅工業株式会社 常務取締役 竹内一紘氏

 マーケティングコンサルタントの木全氏は、多くの中小企業が「自社の強み」をうまく言語化できていないと指摘。「歴史のある企業ほど、それが当たり前になってしまい、強みに気づけないことが多い」といいます。また、「作ったものをどこに売るか」ではなく、「どんな市場に向けて作るか」という思考の転換が不可欠であり、今回登壇した2社はその点をしっかり実践しているからこそ成功していると評価しました。

木全崇仁事務所 マーケティングコンサルタント 木全崇仁氏

 さらに、知財の活用についても意見が交わされました。仙波氏は、「特許を参入障壁とすることで自社技術の優位性を守る姿勢を示し、ブランディングよりも技術保護の観点で活用している」と述べました。竹内氏は、「意匠権を中心に関連意匠をまとめて取得し、商標と組み合わせることで製品の長期的な優位性を確保。実際にコピー品の輸入差止にもつながった」と話しました。

 最後に木全氏からは、ネーミングについてのアドバイスも。「コンセプトからキーワードを抽出し、それらを組み合わせて造語を作る」という方法を紹介し、最近ではChatGPTなどの生成AIを使ったアイデア出しも有効だと述べ、参加者から興味深く受け止められていました。

 ディスカッションの内容は、IP ePlatにアーカイブ動画として公開しておりますので、ぜひご覧ください。

会場限定セッションで語られた実務の裏側

 セミナー後の交流会では、「現地でしか聞けない!中小企業のマーケティング・ブランディング×知財のリアル」と題した非公開セッションを実施。
 特許を活用した具体的なマーケティング戦略や、生成AIを営業支援に取り入れる事例、人事体制や予算を含めたマーケティング部門の立ち上げ方など、より実践的かつ深い議論が交わされました。

(写真左から)iCraft法律事務所 弁護士・弁理士 内田誠氏、株式会社オーケーエム 執行役員 生産統括本部長 仙波直一氏、平安伸銅工業株式会社 常務取締役 竹内一紘氏、木全崇仁事務所 マーケティングコンサルタント 木全崇仁氏

 セッション後は、参加者の名刺交換や情報交換が行われました。

交流会の様子
交流会の様子

 次回のいんぴっとONE第7回セミナーは、2025年6月25日にオンラインにて開催する予定です。

参加者からのコメント

肩肘張らずに知財を学べるフラットさ

弁理士

匿名

今回のセミナーに参加して、とても勉強になりました。自分自身の弁理士という立場は、マーケティングと知財、両方の必要性について同じ視点で考えられるという点に大きな気づきがありました。
これまで『いんぴっとONEセミナー』にはオンラインで参加していて、現地で参加したのは初めてです。オンラインだけでは得られない交流の機会が、たいへん貴重だと思いました。また、セミナーがタイムリーに開催されることも重要だと感じています。
こうして交流会で直接お話できる場があるのは、本当に良いことだと思います。
もし参加を迷っている方がいらっしゃったら、ぜひ現場に足を運んでみてほしいです。実際に来てみないと分からない、この「フラットな感じ」の雰囲気を肌で感じていただけるはずです。

期待以上の実践的な内容!地域金融機関の支援にも活かせる学び

金融機関勤務

匿名

今回のセミナーは、正直、もっと堅苦しい内容だと思っていたんです。でも、実際に参加してみると、専門家の方々だけでなく、商品開発や販売、マーケティングに携わっている方々の生の声を聞くことができて、とても実践的で具体的な内容でした。
私が普段支援している中小企業、特に創業間もないスタートアップ企業の方々にも、今回のマーケティングに関する内容はきっと役立つと思います。
私自身も、ブランドや名前の重要性について改めて考える良い機会になりました。地方の金融機関は、どうしても情報発信力が弱い部分があるので、今回の学びは、自分たちの広報活動にも活かせるヒントがたくさんありました。

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